しばらくアサヒはコードを目で追いながら黙って弾いていたけど
「すげぇ・・・、マジかよ・・・」
と驚いた顔をした。
「でしょ?これをメジャーコードの爆音でやったら面白いと思わない?」
アサヒはこっちを見て子供みたいな笑顔で「うん!」と頷いた。
「問題は作詞だな。この曲にどうメロディーラインをつけてどんな歌詞を乗せるかはお前次第だぞ」
都築がいうと「そうだな・・・」と呟いた。
「これは、僕にも優雨にも大事な事だよね、どうやってこの曲とさっきの2曲の世界観を引っ張り出せるか」
鈴木の言葉に「そうなんだよねぇ」とあたしは壁にもたれかかった。
「それと都築くんの下手なギターソロをいかに削るかもね」
「てめぇ!!まだ言うか!!このデブ!!」
「だから文句なら上達してから言えよ!!!」
あたしはノートをジッと見つめているアサヒに声をかけた。
「アサヒ、書ける?」
下を向いているアサヒがあたしを見上げて笑顔になる。
「書く!!徹夜しても何しても書く!!ただし文句言うなよ」
あたしもアサヒを見て笑顔を返した。
いつも勝手に人様の音楽に無理矢理入っていくあたし。
でも、バンドってこうやってみんなで作りあげていくものなんだ。
あたしの知らない世界が目の前にあるなんて・・・。