話はあたしの目線に戻る。
だって主人公はあたしだから。
そんなあたし達はアサヒが作曲した曲をどう音にするかを模索・・・ってより揉め事中。
「だからさ、都築くんのギターソロが長いんだよ!上手かったら別に文句はないけど」
「何だとこのデブ!!てめぇは実力があるだけのベースマニアじゃねぇか!さっさとメロディーライン作れよ!!」
「デブとか言うなよ!!上手くなってから言ってよ!!」
『もー!!うるさい!!』
あたしとアサヒの声がハモる。
アサヒはスタジオの真ん中に寝そべってノートに言葉を書き続けている。
「あー。これもダメ。ダメばっかり」そんな言葉を口によくしてる。
明らかにイライラしている様子だけど、変に声を掛けない。
これは鉄則。
だからあたしはアサヒが持ってきた5曲のうち3曲のドラムラインを作っている。
知らない曲、こんなものにリズム乗せるなんて贅沢な事。
「アサヒ!アサヒが思いつくままでいいんだからね!」
そう声を掛けるとノートを見たままのアサヒが「はいよ」と手を挙げた。
アサヒじゃ必ずいい曲を作る。
それを演奏するあたし達だって苦悩だらけなんだから(都築を除けば)必ずいい音を出せるってあたしは思う。