「ほら、優雨ちゃんは仕事に戻って。後はこっちで何とかするから」


店長の言葉に頷きながらあたしは転んで必死でガードレールに掴まって立とうとしている色白でか細い男の子を見ていた。


誰かが手を差し伸べようとするのを「手伝うな!この人は自分で立つから!」と怒鳴ってしまった。


その自分の発した言葉に思い出した。



「アサヒ・・・?」



「やっぱり優雨だ」


ガードレールに掴まって立ち上がった彼は、あたしがスリランカに行く前に知り合った男の子。

田所 朝陽(たどころ あさひ)22歳の大学4年で就職難のうずに巻き込まれてる青年だ。



「何でこんな所にいるの?」


あたしがポカンとして聞くと、アサヒは笑った。


「職場に来てみたらって言ったの自分じゃん」


「そうだっけ?でもあたし一昨日帰国したばっかりだよ?何で今日から働いてるってわかるの?」


アサヒは携帯を出してまた笑った。


「何度も竜崎さんはいつから出勤しますか?って電話したから」


そういう事か・・・。

確かにここの場所も教えたよね?



「まさか本当に来るなんて思わなかった」


「だって、人生観変えてやるから来いって言ったの優雨でしょ?」


そうだっけ?


アサヒには悪いけどあたしはそれをすっかり忘れてしまってる。