額に汗をかきながら一通り演奏を終えると続きは俺達を見回して言った。


「どう?やっぱ名器ってヤバイよね。ついつい夢中になっちゃった」


俺は黙っていた。それは龍平も鈴木も。



「アンタのそのレスポール100万だっけ?100万に該当する演奏出来てると思ってるの?」


「え?何が?」


「楽器に失礼だと思わない?アンタの実力ならアサヒのスクワイヤー以下の楽器で充分よ」


都築が笑いながら優雨に言った。


「キミさ、実力はかなりあるらしいけどそれって驕りじゃない?音楽にボランティアを押し付けてるんじゃないの?」


いつも優雨なら食ってかかるけど何も言わないでこっちを見た。


「アサヒ、ギター弾いて」


「何で!?」


俺が驚いてると「いいから」と言った。



仕方なしにギターをアンプに差すと俺は龍平を見た。


「俺が上達してたら土下座だろ?」


笑いながらいうと「デコすれるまでやってやるよ」と言う声が返ってくる。



真ん中でやるのも嫌だなと思ってアンプに近い所で弾く事にした。

目の前にマイクスタンドとそのマイクがONになっている事に俺は全く気づかなかった。


いつも通りに目を閉じてイメトレをしてから、今、俺達がやってるバンドの曲を弾き始めた。