「たまたまな。ビジュアル系のお勉強に」


嫌味たっぷりに言うと「はぁ?」と睨んでくる。


「まぁまぁ、2人共そんなにイライラしないでよ。龍平、俺のバンドのメンバーなんだから気をつけろよ」


都築が言った。


「いつ、アンタをメンバーだなんて認めたのよ」


ようやく優雨が言葉を発した。


「だって、メンバー不足なんだろ?俺、ギターで入ってあげてもいいけどね。って昨日アサヒくんには言ってあるけど」


「それは聞いた。だけど、いつ入っていいって言った?」


優雨が都築を睨んでいる。


「そんな怖い顔しないでよ。美人が台無しになるよ」


そう言いながら都築はギターケースを開けた。


「わ・・・」


鈴木が俺の肩に手を置いて覗き込んだ。



レスポールが入っている。



「いいでしょ?60年代のギブソンのレスポール。市場価格100万」


「100万!?」


俺と鈴木の声がハモる。


「ま、他にも70年代のグレッチとか色々あるんだけどね」


都築が得意げに言う。


「金持ちの子供?」鈴木が呟いた。


それを後ろから優雨はずっと睨んだままだった。