部屋でギターを弾いていると携帯の着信ランプが点滅している。
ヘッドホンを外して確認すると妹の夕陽(ゆうひ)からだ。
朝陽に夕陽、うちの親は適当に名前をつけてるとしか思えない。
高2の妹とは兄妹仲は悪くはないけど、アイツからこんな遅い時間、しかもメールじゃなくて電話なんて珍しい。
かけ直すとすぐ出た。
「お兄ちゃん?ちょっと聞きたいんだけどさ」
「何?」
「龍平くんいるじゃん。斜め向かえの」
頭の中で龍平の顔が浮かぶ。
俺がアイツよりギターが上手くなったら土下座って言ってたよな。
「龍平?何かあったのか?」
「何かっていうか、友達が龍平くんのバンドの追っかけしててライブにいっつも誘われてるんだけど、ビジュアル系嫌いだし・・・、でも友達もいい加減付き合ってくれてもいいじゃんとかキレてるしどうしようかなって・・・」
夕陽が好きなのはミス○ルとかそういう割りをポップな音楽かたまに何を思ったにかゴリゴリのハードロックを聴いたりしてちょっと理解出来ない部分があるけど。
「龍平とは近所だから行くのは気まずいって断れば?」
「それ最初に使った。そしたら友達盛り上がって龍平くんの家の写メ撮ってた」
「何でそんなにしつこいワケ?」
「多分だけど、最初に龍平くんを昔から知ってるって理由で断ったのがいけないんだと思う。あたしを利用して近づこうとしてるのが見え見え。でも、あんまり断るとハブかれるかもしれない」
「で、俺にどうしてもらいたいの?」
「お兄ちゃんライブに付き合ってよ。あたし嫌だもん」
「はい?」