「後は曲とボーカルか・・・。アサヒ、歌練習してるの?」


優雨が睨んでくる。


「してるよ、毎日1時間は。それよりギターに時間を取りたいから待ってよ」


「本当?ま、そういうならそうなんだろうけど。後は作曲かぁ、鈴木作れないの?」


「え?作れなくはないけど、今まで作った曲は限りなくダサイって事だけはわかってるよ。優雨は?」


「うーん、作れないわけではないけど。あたしギターってコードあんまり知らないし、好きな曲しか弾かないから何かのパクリっぽくなりそう」




俺は2人のやりとりをタバコをくわえたまま聞いていた。


まだ言えない。


実は歌も滅茶苦茶練習してて、ギターでフレーズだけど作曲してる事。


この間上月との個人練習の時に内緒でって事で、初めて人前で歌ったし、センスもない作曲も聴かせた。


「すごいじゃん!これパーツごとにつなげたらいい曲になると思うよ。それに声!!予想通りだよ!歌いなよ、アサヒ君!!」


と大絶賛は受けたけど自信が全くないから聴かせられない。


作った曲はまだ5曲。


もっと作らないと。2人が納得するような曲を・・・。




「アサヒ!ちゃんと考えてるの!?」


優雨に言われて「考えてるよ、歌の事もね」と答えた。