家でギターを弾きながら考える。
鈴木は来るんだろうか・・・
でもあんなに楽しそうでスキルも相当あるんだから1人で弾いててもつまらない事くらいわかってるだろうな、と思う。
だって泣いてたし。
1人でいいって言ってたけど実は誰かに認められたいんだ。
俺だってその1人である事に間違いはない。
事故ってから全部失ってからずーっと空虚な気持ちだったし。
「いや違うな」
思わず口に出してしまう。
順風満帆な時から空虚だったんだ、実は。
それを感じる事を忘れてただけだ。
ただ周りに人が寄ってきて笑顔で『勝ち組』だなんて思ってただけで他に何か出来るのか?と聞かれたら出来なかった。
小、中、高とやっていたサッカーの時だけは充実してたんだと思う。
みんなで勝ちたい、そんな気持ちがあったから。
手にしているギターを見つめる。
俺の空虚な気持ちを満たせてくれるもの。
でも・・・
鈴木、優雨。
あの2人に追いつく事は出来なくても食らいつく事は出来るのかな?
「道が長いな・・・」
ため息をついて楽譜を見ながらギターを鳴らした。
少しでも近づかないと振り落とされてしまうから。