一通りお互いに音を鳴らすと優雨は額に汗をかきながら言った。


「で、鈴木。どう?楽しかった?あたしは1人で憂さ晴らしに演奏するよりも、誰かと一緒の方がいいと思うんだ。強要はしない、でもうちのバンド入らない?」


鈴木はいつも通りに下を向いた。


「鈴木?」


俺が聞くとうつむいた目から涙がな流れていた。


「ぼ、ぼ、僕、生まれて初めて人前で演奏したんです。恥ずかしくて怖かったんです。でも自然に指が動いて楽しくて・・・」


「音楽には言葉はいらない。俺も優雨のこのポジティブさでギター始めたから」


優雨は俺を見てニッコリ笑っている。


「でも、お2人共かなりルックスがいいのに僕なんかでいいのかな・・・」


「はぁ?」優雨がビックリした声を上げた。


「何、鈴木見た目とか気にするの?別に音ならして楽しければいいじゃん」


鈴木はしばらく考えてから言った。


「デブって演奏上手く見えるからそれ狙いでしょ?より自分達を惹き付けるために」


「はい?何言ってるの?あたしは鈴木の音が好きだからやりたいって言っただけ。アサヒもそう思ってるよ」


優雨に見つめられて頷いた。


「鈴木がやりたいんだったら、来週にでもまた来てよ。あたしは鈴木は来るって信じてるけど」


「同感」


俺も言った。


「まだわからないからね!」


ベースをしまいながら鈴木は不平を言っていたけど、鈴木が来る。

だってあんなに楽しそうに演奏てたんだから。