「YOU」
再び呼ばれてあたしは彼を見た。
「ア〜、エ〜、・・・name!プリーズ!!」
「え!?あたしが?」
自分を指差しながら確認を取った。彼は頷いた。
(そんな大役・・・)
でも、せっかくの縁。彼は新しく生まれる命の名前を託してくれている。
部屋の外に出て窓から顔を出して色々考えた。
日本人がつけるんだから日本っぽい名前?
それとも・・・
「あ!!」
頭に浮かんだ言葉を伝えようと部屋に戻った。
「あなたの子供の名前『SONG』なんてどう?」
ポカンとしている。英語でも通じないし・・・。
「you,baby,name,『SONG』」
そしてあたしは鼻歌を歌いだして「このSONGね」と言った。
彼はあたしをギュっと抱きしめると「thank you」と言った。
その晩の飛行機でIPODを聴きながらすてきな子の育ってほしいな、そう願った。