「はじめまして!あたしは竜崎 優雨。あなたは?」
優雨が手を差し伸べても鈴木はおどおどしたままだった。
「彼、鈴木。俺のバイト先一緒の人。優雨の一つ下」
俺が代わりに言うと「そうです・・・」と鈴木が呟いた。
「鈴木ね、OK!で、鈴木の事何て呼べばいい?ファーストネームは?」
そういえば俺も知らない。鈴木のフルネーム。
「鈴木でいいです・・・。下の名前嫌いなんで」
優雨はそんな鈴木の背中をドンっと押した。
「親が愛情込めてつけてくれた名前を嫌いなんて言ったらダメ!何ていうの?」
俺と優雨が見ているとため息をついて「ヒカリです・・・しかもカタカナで。見た目とのギャプがすごくて名前でイジメに遭ってたから嫌なんです」と言った。
「ヒカリ、素敵じゃない!あたしヒカリって呼んでもいい?」
優雨は目をキラキラさせて言った。
「絶対嫌です!アサヒ、ヒカリって呼んだら僕帰るからね!」
語気を荒げ鈴木が言った。
「・・・だってさ。優雨、鈴木でいいんじゃない?」
俺がそう言うと不満そうに「素敵な名前なのに」と文句を言った。
「ま、しょうがないじゃん。鈴木、そう呼ぶから帰るなんて言わないでよ」
「わかりました・・・で、竜崎さんがリーダーって本当ですか?」
鈴木はうつむいたまま言った。
そんな鈴木の顔を掴んで優雨は上にグイっと上げる。
「鈴木、下向かない!!下は地面しかないよ。太陽は上にあるの、わかった?それにあたしの事は優雨でいいから。OK?」
鈴木が目をキョロキョロさせながら頷いた。
それを見て俺はちょっと笑ってしまった。