それから10分くらいで鈴木のわけのわからない豹変はおさまった。


「悪いけど話聞く前にジャ○プ。あれ片付けてくれないかな?」


俺がそういうとうつむきながら陳列を今まで見た事がない早さで終えるとレジの中へ戻ってきた。


「で、ベースってどういう事?」


「さっきキミが言ったバンド、○○○○。あのベースは僕の神様なんだ」


優雨が奨めたバンドだ。


「そうなんだ、意外だね」


口走ってから(あ、ヤバい)と思った。


「ほら!どうせキミも僕を秋葉系とかオタクとか思ってたんだろ!僕はキミみたいにイケメンでもないし、モテた事ないからね!バカにしてたんだろ!!」


「いや、してないよ。だって俺みたいに身体不自由じゃないだろ?」


そう言うと「ごめん」と涙を浮かべた。


「謝らなくていいから!それに俺、治るからさ。時間かかるだけだから」


「そうなの?」


「そうだよ」


「それでギター弾いて、身体治って、そのルックスでギター弾けたらモテモテじゃないか!勝ち組なんだよ!キミは!!」


(面倒くせー)


もう鈴木の話を聞くのやめようかな?と思ったらまた話始めた。


「最初にCDショップであのバンドの音が流れた時、身体が震えたんだ。衝撃っていえばいいのかな?すぐさま店員にこのバンドのCD下さいって駆け寄って買えるだけ買ったんだ。CDに傷がついて音が鳴らなくなるまで聴いてた。ちなみに今、全く同じCD3枚目だけどね」


「3枚目!?」


「そんな事はどうでもいいんだよ、僕の話ちゃんと聞いてよ」


俺は睨みつける鈴木に頷いた。