「弾けるの!?その、あの、その・・・」
「あぁ、身体?弾けるってほどじゃないけど、俺、左利きだからそこまで苦労はあんまりないみたいだけど。何で?」
「好きなバンドって何?」
何でこんなに興奮してんだよ?怖いですよ、鈴木君。
「うーん・・・」
俺は前から好きだったバンドと優雨が「絶対オススメ!」とくれて割と気に入ってるバンドと上月君が「神降臨!!」と渡してきたたくさんのCDの中から特に気に入ってるバンドを何個かあげた。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
鈴木が突然大声を上げて床にうずくまった。
「は!?ちょっと鈴木君、大丈夫!?どうした!?」
俺がレジ越しに覗き込むと「嘘だ、何て事だ・・・」と呟いている。
(怖いんですけど・・・早退しようかな?)
かなりドン引きしながらも鈴木の豹変ぶりに目が離せない。
第一、ここで客がきたら「この店ヤバイ」と110番されそうだ。
「その中に僕の神様がいるんだよぉ」
鈴木が半泣きになりながら言った。
「神様?何、どういう事?」
(コイツ、オタクじゃねぇの?アイドル好きなんじゃねぇの?)
「僕の憧れ、いや、崇拝するベーシストがいるんだよぉ」
「ベース!?」
今度は俺が大声を出す番になった。