「ねぇ!弾いてる時って無言?それとも鼻歌とか本気でとか歌ってた?」
あたしがアサヒの首に手を回したままで捲し立てるように喋ると、アサヒはちょっと考えて「鼻歌くらいは・・・、あ、ちょっと歌いながらかな?」と答えた。
「歌って!!」
「は?ヤダよ」
アサヒはしかめっ面をした。
「何でよ、ギターボーカルの約束でしょ?歌えないと意味ないじゃん」
「約束って・・・それは優雨が勝手に決めたんだろ?俺、ギターだってまだこんなくらいしか弾けないのに歌まで無理だよ」
「歌いながら練習すればいいじゃん。しかもデカイ声で」
アサヒは呆れたようなため息をつく。
「あのね、俺アパートで1人暮らしなんだよ。歌ったら速攻で苦情くるじゃん。ギターもヘッドホンしながら練習してるんだから」
「あ、そうだっけ?じゃぁさ、うち実家だからうちにおいでよ。うちなら一軒家だから歌い放題だよ」
そう言うと顔を真っ赤にして「バカじゃねぇの!?」と言った。
「優雨、それは無理だろ、普通に」
上月も呆れている。
「そう?うちの親アサヒみたいなイケメンきたら喜ぶのになー」
「だから!誤解されるだろ!!」
何でこんなにアサヒが真っ赤で怒ってるのかあたしには意味がさっぱりわからなかった。