「え?」


あたしと上月が同時に声を上げると、アサヒは上から一気にピックを下ろした。


そしてつたない音だけど、コードを動かして演奏をしている。


しばらく音を聴いていて最初は何かわからなかった。

でも・・・


「これって・・・『Wonderwall』?Oasisの」


あたしが驚きながら言うと上月も「マジ!?」と驚いている。


「よかった、わかってもらえて。超有名な曲なのに俺の演奏でわからないかと思って不安だったから」


アサヒは安心した笑顔を向けた。


「いやいやいや!わかるとかわからないとかじゃなくて、1ヶ月で何で弾けるようになったの?その・・・手だって不自由だろ?」


「え?あぁ・・・最初はコードだけ練習してたんだけど、正直飽きちゃて・・・何か俺でも弾けそうでみんながわかるような有名な曲ないかな?って曲からコード覚えた方が俺はいいかもって思って・・・、最初はビートルズとかにしようと思ったけど、俺、oasis好きだから。で、超有名なこの曲練習してたんだよね。『Don't Look Back in Anger』も今練習中。難しいかな?あっちの方が」



「アサヒ!!」


あたしは嬉しくて思わずアサヒに抱きついた。

「え?ちょ・・・!!」アサヒが動けないで困った声を出している。


「すごいじゃん!あたし超感動した!!毎日何時間練習したのよ!?」


「え?・・・バイトもあるから普段は6時間くらいしかギター触れなくて、休みは寝ないでやってたかな?楽しくなっちゃってハマったから」


「すげ・・・」


上月が呟いた。