上月のバンドメンバーが出てきて、最後に上月が現れてアサヒに手を上げた。
「ごめんね、少し時間かかっちゃって」
「いや・・・大丈夫。うん、大丈夫」
そんなに緊張して本当に大丈夫かな?
あたしは思った。
「じゃぁ、ちゃちゃって見せてもらっていいかな?それで直す所を教えたいって感じなんだけど、それでいい?」
「うん」
上月は鼻歌を歌いながら先にスタジオに戻った。
「何か緊張してるけど、あたし席外してようか?」
「いや、優雨にも見てもらいたいから。練習の成果ってやつ」
そう言うとギターケースを抱えて上月の元へ歩いて行った。
あたしも店長に「じゃぁ見てくる」と声を掛けて、アサヒの後ろに続いた。
あたしがスタジオに入ると、上月がギターを抱えて座っていて向かえの椅子でアサヒがケースからギターを出しているところだった。
あたしは壁に折り畳んで置いてあるパイプ椅子を出して結構距離を取って2人が見える真ん中の位置に座った。
ケースからギターを出すと、しっかり抱えて1弦1弦ピックで音を鳴らして3弦をチューニングしている。
「お、耳でチューニング出来るの?いい傾向だね」
上月が褒めるとアサヒは苦笑いをした。
それから軽く音を鳴らして頷いた。
「じゃぁ、基本のEから」
上月の言葉に「ちょっと待って」とアサヒが言った。
「聴いてもらいたいんだ。超ヘタクソだけど」