龍平達が帰った後、アサヒはへたりこんだ。


「あんな啖呵きっちゃったけど俺大丈夫かなぁ」


あたしはそれを見て笑った。


「大丈夫。あたしと上月のお墨付きなんだから。ほら、練習練習」


アサヒは頷いてギターをケースから取り出した。


「まずはコード覚えないとね、あたしいるとプレッシャーでしょ?ライブハウスにいるから好きなだけ弾いてみなよ」


アサヒの肩を叩いてあたしは立ち上がった。


アサヒはその場で胡座をかいてギターをしっかり持ってピックを持とうとして、手からピックが落ちてしまった。


あたしはそれを確認してからスタジオを出た。




何だか変な音が鳴っている。


どのコードを押さえてるのかわからない。




ライブハウスに戻ると店長が心配そうに言った。


「あの子、身体不自由なんでしょ?大丈夫?」


「平気よ。だってあたし達の前で音鳴らせたでしょ?アサヒなら大丈夫。爆音の感覚をしっかり覚えているから。それに努力する人よ」


「そう?優雨が言うならそうなんだろうけど・・・」




あたしはタバコに火をつけながら思った。



アサヒは上手いとかじゃなくて最高のギタリスト、そしてボーカリストになる。