「は?何言ってんだ?お前、ちょっと可愛いと思ってるだろうけど、お前レベルの女なんかその辺にゴロゴロ転がってるぞ!!」
起き上がった龍平があたしに息巻いてきてあたしは軽く息を吸ってから怒鳴りつけた。
「all silent! Your rotten music affects nobody's heart! I prove it!」
(黙れ!お前の腐った音楽なんか誰の心にも響かない!それを証明してやるよ!)
「は?何言ってるか意味わかんねーし」
「優雨?今何て・・・?」
ついうっかり喋ってしまった英語でみんなチンプンカンプンになってるだろうけど、別にいい。
「あたしがあんたらの音楽を聞いてやるって言ってるの。おまけにスタジオ代タダなんだから。本気で出して音出してみなよ」
あたしはアサヒの手を引いてさっさとスタジオのドアを開けた。
龍平のメンバーも気をされたのかぞろぞろついてきた。
メンバーがセッティングするのをあたし達は椅子に座って眺めていた。
あたしはタバコに火をつけるとアサヒに聞いた。
「あの龍平ってアサヒの何?」
アサヒはちょっと考えてから言った。
「小中高と一緒の幼馴染み。大学に進学する時、龍平はバンドで成功するって上京したんだけど、2年でダメで戻ってきたんだ。また違うバンド組んでるのは知ってたけど、俺、どっかでそんな龍平をバカにしてたから。アイツもそれ知ってるから絡んでくるんだよ」
龍平がギターをセッティングしている。
「やっぱESPか・・・」
あたしの呟きに「え?何が」と言う。
「ギター。ESPってビジュアル系の人よく使ってるのよね。別に嫌いじゃなのよ、ビジュアル系は。興味がないだけ」
セッティングも終わったみたいだからあたしは言った。
「本気でやりなさいよ!あたしはそこらのプロより耳には自信あるんだから」
龍平は嫌な顔をしたけど、すぐに一斉に音が鳴った。