アサヒが見ている青年は笑いながらメンバーと談笑していたけど、ふいにこっちを見た。
それから楽しそうな顔で近づいてきてアサヒをジロジロと眺める。
「あれぇ?事故で何もかも失った負け犬アサヒくんが何でこんな所にいるのかな?」
「・・・お前こそ何でこのスタジオ来てるんだよ」
アサヒはその「龍平」という人物を睨みながら言った。
「ダチがさ、ここのスタジオいいって教えてくれたから。いい加減前のスタジオ飽きちゃったし、ファンも覗きにきたりで大変だしね。あ、これって昔のお前のお前みたい?女にちやほやされてた「過去」のお前と」
あたしはそのやり取りを聞いてアサヒのそばに行こうとしたけど、店長に止められた。
「店長!!」
「大丈夫。いざとなりゃ全員叩き出してやるから」
あたし達が見守っている中、龍平はアサヒの肩にかかっているギターに目を向けた。
「は?お前ギター弾くの!?事故って右半身動かないんだろ?バカじゃねえぇの?」
「・・・それは俺の勝手だろ。龍平に関係ない」
ここから見てもアサヒの額から汗が流れるのが見える。
「弾けるわけないだろ?お前がギター弾けたら俺はお前に土下座するね」
ケタケタ笑う龍平とメンバーを見ていてあたしは我慢出来なくなった。
「店長ごめん!ヤバくなったら助けてね」
あたしは勢いをつけて走り出して龍平に思い切り飛び蹴りをくらわせた。
吹っ飛んで転んだ龍平とあたしをアサヒは仰天した顔で見ている。
「イッテぇ、何だよこの女!!」
立ち上がった龍平にニッコリ微笑んであたしは言った。
「もう1回スタジオ入りな、ド三流」