「いいのかな・・・」
上月にもらった山盛りの荷物を抱えてアサヒは困惑している。
「いいんじゃない?上月が勝手にくれるって言ってるんだから」
あたしは運転をしながら返事をした。
「しかもギター教えてくれるって・・・」
「上月に確かに頼んだけど、断らなかったのは上月の意思でしょ?人の善意は素直に受け取った方がいいよ」
「うん・・・」
アサヒはケースに入ったギターをそっと撫でた。
「俺、弾けるようになるかな・・・。こんな手で」
「弾けたじゃない。出来るって。何事も後ろ向きはよくないよ、アサヒの悪いクセだね」
「そうだね、俺やっぱり事故に遭ってから自信って正直ないんだ。それまでは全部俺都合で回ってるような気分で偉そうにしてたんだけど。全部失って自信もなくなった」
「また戻るよ、自信。まぁ、俺様にはなってもらいたくないけど」
「優雨ってすげーポジティブだよね」
アサヒはクスクス笑いながら言った。
「え?そう?だって下ばっかり向いてても損じゃない。楽器だって上手い下手の問題じゃないよ、ようは出来るか出来ないか、あたしはそう思う」
ライブハウスの前に着くとあたしは車を停めた。
「寄ってかない?今日は何もない日なのよ。練習してけば?あたしいればスタジオ代タダだし」
「え?いいの?」
あたしはニヤリと笑って言った。
「ウチの店長オネェ系なの、実は。アサヒの事気に入ってたから永遠にタダだと思うよ」
「ええええええ!?」