「お待ちしてましたー」


店の名前が入ったエプロンをした上月が愛想よく言った。


「へぇ、真面目に仕事してんのね」


「テメー、バカにしてるだろ」


あたしに中指を立ててから「アサヒくん、これスクワイヤー。形は昨日のストラトと一緒」


そう言って濃紺のギターを出した。


「え?これ1万なの?」


アサヒはビックリしてる。


「うん。試し弾きするから座って座って」


そう言って、アンプに通すとピックではなく指で簡単に弾いた。


「ね?悪くないでしょ?お買い得だと思うよ、メーカーってより音が。来る前に弦も張り替えておいたし、チューニングもしてあるから。あ、後は特別サービスでーす」


そう言って、小さいアンプとシールドとピックが5個、それに皮のギターケースを出してきた。その他に何か入ってる箱。


「これ、俺が昔使ってたエフェクター。まだ必要ないかもしれないけどあげる。あとはコード表PCでプリントしてきたから。それと誰でもすぐ弾けるようになる曲の楽譜ね」


「こんなに至れり尽くせりされていいの?」


戸惑った声でアサヒは言った。


「まぁ、優雨とは付き合い長いし。友達としてね、昔振られたんだけど」


そう言って笑っている。


「はぁ・・・」


「それと、これは優雨から頼まれてるんだけど、優雨のバイト先ってスタジオもあるんだけど、そこでよかったらバンドの練習終わってからでいいならギター教えるから」


「え!?いいの!?」


その声にあたしは思わず笑ってしまった。