上月がギターを手に戻ってきた。


「店長、ちょっとアンプ借りていいっすか?」


「どうぞー」


そんなやり取りをしてあたしとアサヒに「こっち来て」とステージの方に手招きした。


「これ、アンプ。ちなみにライブハウスのだからマーシャルのいいやつだけど。で、このギターがストラト。俺のだけどね、こっちはフェンダーUSAだから結構高いよ」


ステージに座って上月はアサヒを見た。


「アサヒくんはどんな音楽やりたいの?」


アサヒは即答で「爆音のロック!」と答えた。


上月はギターのチューニングをちょっとしてからピックで一気に音を鳴らした。



しばらく上月は色んなジャンルの音を鳴らした。


ハードな音からメロコアな感じ、それからちょっとスカっぽい音。


アサヒは唖然として見ていたけど、あたしは楽しくなって


「店長!ドラム!借りていい?」と叫んだ。


店長の了承も得ないであたしはドラムを上月の音に合わせて適当に叩いた。

上月がこっちを見てちょっと笑う。あたしも笑って頷いた。

2人でしばらくセッションをしていると、帰りかけの客があたし達を見ていた。


演奏が終わると拍手が鳴ってあたしと上月はハイタッチした。



「すげ・・・」


アサヒは口をポカンと開けてあたし達を見ている。


「ね?音楽に会話はいらないの」


あたしはアサヒに微笑んだ。