間もなくして小柄な金髪少年が小走りで来た。


「優雨!テメー何だよ、急用って。店長に怒鳴られたぞ!」


それからアサヒを見て「何、このイケメン君。優雨の彼氏?」と言った。


「バカじゃない?この人はアサヒ。あたしのバンドメンバーよ」


「あたしのって・・・」


アサヒが呆れた声を出した。


「何よ、初心者と経験者よ?あたしがリーダーに決まってるでしょ?それにアサヒは優柔不断そうだからあたしがリーダーよ」


「は?バンドって?優雨、お前バックパッカー辞めたの?」


上月が驚いている。


「そっちはしばらく休業。バンドやりたくなった。で、アサヒがギター。っても全く弾けないけどね、だからあんたに用事あんのよ」



あたしは事情を説明した。

上月は頷きながら腕組みをしてちょっと考えている。



「うーん、初心者ならスクワイヤーで結構いい音のあるんだよね、1万くらいかな?後はフェンダージャパンだけど、来週からセールで出そうと思ってるストラトがあるけど。初心者だし低予算ならまずはスクワイヤーで慣れてから好きなギター買うってのでいいと思うけどな。スクワイヤーはフェンダーの子会社ね」


「俺、あんまり知識ないんだけど。フェンダーとかギブソンとかグレコくらいしか、後はテレキャスとレスポールとムスタング?ストラトは知ってるけど」


アサヒも困った顔をしている。


「そんだけ知識あれば充分じゃない?」


あたしはタバコの煙を吐きながら言った。


上月は「ちょっと待ってて」と言ってまた控え室に戻って行った。