「HEY!YOU!!」


ほとんどジャングルと言っていいほどの中に取り残されたような集落。

人口50人くらいのこの村の「収穫祭」にあたしは参加している。



声をかけてきたのはこの部族の次期長老と呼ぶべき若者。


「〜〜〜〜〜〜〜」


「え?」


あたしは慌ててスマートホンを取り出しジェスチャーした。

これに向かって喋ってくれと。


「〜〜〜〜〜〜〜」


彼はもう一度スマートホンに向かって喋ったけど、無意味。

英語をカタコトでしか話せないあたしは必死で英語で「何を言いたいの?」と聞いた。


英語が万国共通何て嘘だ。


バックパッカーでバイブルは「地球の歩き方」のあたしには彼の言葉がわからない。


彼はパーカッションとも少し違う太鼓をテンポよく叩いた。



(あぁそういう事。セッションしようって事ね)


「OK」


あたしは近くにあった同じような太鼓の前に胡座をかいてリズムを刻む。

その音はあたしの国、日本の童謡の「さくら」のリズム。


若者を含め聴いた事がないリズムに村人は一瞬唖然としてたけど、あたしが笑うと拍手喝采。


そして若者はこの部族特有のリズムを刻む。

それに合わせてあたしは日本風に合わせて太鼓を叩く。



ほら、言葉なんてなくたって音で伝わるの。


互いを尊敬出来るんだから。