そう言った途端、急にアサヒは不安な顔になった。
「でも、バンドやるって言っても誰とどうやれば・・・」
あたしはその言葉を聞いてニヤリと笑った。
「アサヒ、バカにしてんの?目の前にいるでしょうが。メンバーの1人が」
「は?」
「ドラム。叩いてあげてもいいよ。その代わり、アンタがちゃんとギター弾けるようになるならね、しかも短期間で」
あたしの言葉にアサヒは笑顔で頷いた。
子供みたい。あたしより1つ年上なのに。すごい純粋な子供。
「あー」
またアサヒは悲痛な声を出した。
「今度は何よ」
「ギターって高くない?俺、今、深夜のコンビニでのバイトだし、手持ちの金3万くらいしか持ってないし、給料日まだ先・・・」
ギターは確かに高いけど・・・。
「あ」あたしは思い出して、大声で言った。
「店長!!上月(こうづき)のバンド、もう帰った?」
「控え室にいるよ!」
店長の声が返ってくる。
「悪いけど、上月呼んできて!お願いしまーす!」
アサヒはポカンとあたしを見た。
「今、上月って奴くるから。デカイリサイクルショップの楽器部門でバイトしてんの。そいつもバンドでギターやってるから大丈夫」
あたしはニッコリ笑った。