レコーディング初日。
店長の紹介してくれたスタジオに行くと、細くて眼鏡をかけたオジサンが出迎えてくれた。この人がプロデューサーの様だ。
「早速だけど何曲か聴かせてほしいんだけど」
そう言われてガラス越しに機材とPCがある別室から見えるスタジオに入ってセッティングをした。
今までと雰囲気がまるで違うから全員緊張してるし、セッティングにも時間がかかる。
『僕の事はいないと思ってくれていいから』
マイク越しにプロデューサーの橋本さん(さっきのオジサン)の声が聞こえた。
「いないって言われても・・・」
鈴木が当惑した顔をした。
「とにかくいつも通りにやってみようよ!」
あたしは無理矢理引きつった笑顔でみんなに言った。
セッティングを何とか終えて全員で精神統一する。
アサヒの足音を合図に音を鳴らした。