問題はアサヒだ。
人前で歌うのが大嫌いなアサヒが「いいよ」なんて言うはずない。
無理だろうな・・・と思いながらも一応聞いてみる。
「アサヒは・・・どうしたい?」
アサヒは読んでいた雑誌から少し目を離して考えているようだった。
あたしも鈴木も都築さえも答えは「NO」だって思っている。
長い事考えてたアサヒにあたしが「わかったよ」と言おうとしたら
アサヒから予想外の一言が出た。
「俺は別にやってもいいけど」
一瞬にして楽屋の中が静まり返り、そして・・・
『ええええええええ!?』
と龍平も含め全員で驚いた。
少し落ち着こうと思ってゆっくりアサヒに確認する。
「アサヒ、ビジュアル系のイベントなのよ?200人いるのよ?大丈夫なの?」
「別に何人いようが関係ないじゃん。でも200人でセブンズって面白いかな?ちょうど曲も昨日出来たから試したいし」
『曲!?」3人でハモる。
「ちょっと早い曲?メロコアっぽい感じの作ったんだ。テッパンになればいいけど」
「ちょっと聞いてないんだけど!!」とか「何でいつも突然なんだよぉ」とか「お前出来たらすぐデータ送れって言ってるだろ!」と3人でギャーギャー。
「おい・・・アサヒ、お前のバンド大丈夫なのか?」
龍平が呆れて言った。