「聞きたいんだけどさ、この『眠ラナイ夜〜ナイトメア〜って実にアホっぽい名前のイベントの事なんだけど・・・」
「お前の方が喧嘩売ってんじゃねーのか?」
龍平がタバコをくわえたからジッポで火を点けてやる。
「喧嘩ってよりバカにしてるのは事実ね」
あたしもタバコを吸った。
「このクソ女!!」
メンバーの誰かが怒鳴りつけてきた。
「うるさい。外野は黙ってて。それにあたしは思った事を言っただけよ」
もう一度龍平に向き合って話し始めた。
「これって当たり前にビジュアル系のバンドが出るわけよね?何組出るの?」
「あ?まぁビジュアル系だけだよな。出るのは・・・5組か?」
「ふーん。セブンズ押さえてるだけあってその位は出るわよね。で、そんな中にあたし達が入っても大丈夫なワケ?出るとしたらトップの前座しか空きないでしょ」
龍平が頬杖をついて嫌味を言う。
「お前らってどこからも声掛かってねーんだろ?頼まれたからOK出しただけだよ。1バンドが出れなくなって空いたから」
その言葉に鈴木がムッとした顔になる。
「あ、そう。じゃあその空きバンドの穴を埋めればいいワケだ。で、何番?」
龍平はチラっとアサヒを見てから言った。
「4番。つまり俺らの前って事。俺らの惹き立て役だよ、お前らの存在なんて」
それまでヘラヘラ笑っていた都築が突然豹変した。
「龍平!俺らの存在否定するような事言うなよ!」
あたし達は都築の変わり様に少し驚いた。