「何よ、ジロジロ見て。日本語も話せるわよ?日本人なんだから」
あたしが睨むと全員ムっとした顔になっている。
龍平達のCDを見ていたアサヒがボソっと「龍平、作詞誰がしてんの?」と聞いた。
「作詞?ボーカルのリオだよ」
その「リオ」という青年が「何だよ」と言った。
「リオくん。ここの英語、間違ってるよ」
歌詞カードを指差しながら嫌味な笑顔で言っている。
「え?」
リオが慌てて歌詞カードを覗いた。
「世の中にはPCで翻訳が出来るっていう便利な事があるんだから、ちゃんと確認しないとね」
「・・うるせぇよ!ド三流以下のクセに!アメリカでライブデビューしたからって調子に乗ってんじゃねーぞ!」
リオは真っ赤になりながら怒鳴りつけてきた。
鈴木が耳を塞いでいる。
「うちのメンバーにはデリケートな奴いるんだからギャーギャーわめくなよ。ステージでのリオくんとは大違いだね」
CDをポンと机に戻してアサヒはバカにした笑顔を向けた。
「アサヒ!喧嘩してどうするのよ、あたし達は今どうするか話し合いに来てるのよ?」
あたしが注意をすると「ごめんごめん」と反省ゼロな返事をしながらタバコを吸っている。
あたしと龍平は顔を見合わせてため息をついた。