『Auditory hallucination』様。


さすがにそれなりのハコだけあって1組ずつ楽屋が用意されている。


都築がドアをノックしようとしたけど、あたしは何も言わないでドアを開けた。


龍平達5人がギョっとした顔でコッチを見た。


「うわ!あの時の英語女!!」


確かドラムだった男があたしを指差した。


「お前らさ、ノックくらいしろよ。優雨、お前女だろ?着替えてたらどうすんだよ」


龍平が呆れた声で言った。


「別に。あんたらが全裸でもあたしは全く興味ないんで」


そう言って開いている椅子に座ってタバコに火を点けた。


「お邪魔します・・・」


鈴木が遠慮がちに言った。


アサヒも開いている椅子にさっさと座って「鈴木、座れば?」と言った。


「リハ終わった?」


都築だけがご機嫌な声で言った。


「さっき終わった。で、お前らどうすんの?出るのか?」


あたしの向かえに座った龍平が言った。


「どうするかを考えようと思って見にきたの。てかさ、『ナイトメア』ってイベントの名前、激しくダサイんだけど。考え直せば?」


「俺らのジャンルはこれでいいんだよ。お前らとは土俵が違う」


「あっそ」


あたしと龍平のやり取りを龍平のメンバーがジッと見ている。