都築が書いた紙を一通り読んで「なるほどね」と店長は言った。


「店長、このアホがごめんなさい。あたし達、初ライブはここでって決めてたのに・・・」


あたしが頭を下げると、店長は笑い出した。


『え?』


「いいんじゃないのぉ?日本初ライブがビジュアル系のイベントなんて、アメリカといい『Jams』は本当に面白いバンドね」


とニッコリ笑った。

それを聞いた都築が「ほら見ろ!バカ軍団!!」とベーと舌を出した。


「都築、お前小学生かよ、マジで」


アサヒがため息をつく。


そんなアサヒと都築を見て「まぁまぁ」と店長が言った。


「上月のイベントに出たい、うちのライブハウスでやりたいって気持ちは嬉しいし、上月も同じだと思うけど。・・・ハッキリ言えば、あんた達の実力じゃ上月のイベントはまだ無理なレベルね」


「それはわかってます。・・・でも・・・」


鈴木の言葉を店長が遮った。


「だから、まったく土俵の違う所でやる方がいいかもしれないわね。アウェー上等じゃない。客がゴスロリだろうが200人いるのよ?相手にされないかもしれないけど、『Auditory hallucination』?このバンドがトリなんだから、客は帰れない。大勢の前でやる事の出来るチャンスを棒に振っちゃダメ」


「やっぱ店長。話わかるなー」


都築が何度も頷いている。


「でも、都築もちゃんとみんなに確認を取ってからにしないと。今回はもう仕方ない事だけど、せめてリーダーの優雨には相談しなさい」


そう言われて、一気にバツの悪い顔になった。