鈴木がへたり込む。


「日本初ライブはここで上月くんのイベントにちょろって参加させてもらえないかなーって僕、密かに思ってたのに・・・。何でセブンズなんてデカイハコ取ってくるわけぇ?」


「お前、店長がコネでスタジオ代タダにしてくれてるのに、初ライブを別なハコ、しかもセブンズなんてアホだろ!恩を仇で返す気か!?」


アサヒが頭を抱え込む。


「そうよ、あんた絶対おかしいわよ!それにあたし嫌よ!ビジュアル系のイベントなんて!」


「俺だって無理!あんなゴスロリ軍団の前で歌いたくねー!!」


『ゴスロリ!?』


あたしと鈴木の声がハモる。


「僕、絶対嫌だよー、ゴスロリの前でライブなんて嫌だー」


「冗談じゃないわよ!都築!!今すぐキャンセルして!!」


「お前ら!人の苦労を何だと思ってる!!じゃあ、上月くんはいつライブやるんだよ!!」


「知らないわよ!今、曲作ってるって言ってたし」


「曲が出来るまでライブねーじゃんか!どうすんだよ!!この状況!」




あたし達がギャーギャーわめいていると、スタジオのドアがノックされて、


「あんた達、いつもよりうるさいんだけどどうしたの?」


と店長が顔を出した。



あたし達は店長の顔を見るなり『店長〜』と3人で抱きついた。


「何!?アサヒくんは嬉しいけど、優雨と鈴木はちょっと勘弁してよ」


店長が呆れながら言った。