「ま、別に期待してなかったからいいけどね」
呆れながら言うと鈴木がほっとした顔になる。
「優雨も見たらよかったのに」
こぼれたコーヒーを飲みながらアサヒが言った。
「いいわよ。あたし仕事だったし、ライブならほぼ毎日ここで見れるし」
「へー、じゃあ優雨は毎日お勉強してるワケだ。エライエライ」
「え?・・そりゃ、・・まぁ・・、えーと・・」
あたしの言葉にアサヒはケタケタ笑った。
「お前だってちっとも勉強してねーじゃん」
「な・・!!してるわよ!!あんた達よりは!!」
「例えば?」
ニヤーっと笑いながらアサヒが言った。
「そ、そうね。ドラムとか?」
「ほー。『あたしよりみんなヘタクソ』って言ってなかった?」
「え?まぁ・・。ち、違うわよ!バンドとしてのしてのドラムよ!!」
「で?」
「で?って・・。後は、リーダーとしてとか?」
「からの?」
「は?何よ?『からの?』って」
眉間に皺を寄せるあたしに鈴木と2人で笑い出した。
「今日見たバンド、よく『からの?』ってメンバーに突っ込むんだ」
鈴木がおかしそうにあたしを見た。