季節はあっという間に冬。
ここ札幌の冬は極寒の一言。
でも、ZEPPクラスでやるバンドのライブにはみんなマイナス気温の外でもTシャツで並ぶんだよ。不思議でしょ?
他の地域では絶対見られない異様な光景なんだと思う。
「どうだった?」
ライブハウスのカウンターの中からあたしが聞くと
「ヤバかった!やっぱすげーよ!」
興奮気味のアサヒと鈴木がカウンターに座った。
今日、2人はZEPP SAPPOROで2人が好きなバンドのライブに行っていた。
「へー。何か勉強になった?」
2人にコーヒーを出しながらあたしが言うと、キョトンと2人が顔を見合わせた。
「オレ、ダイブしまくってたし・・」
「僕はモッシュしまくってた。この身体だから当り負けしないんだ」
そんな2人にあたしはニッコリ微笑んだ。
「ライブの勉強してくる。入りのタイミングを見てくる。だから入手困難なライブのチケットを店長のコネで入手してあげたのは誰だと思ってる!!ボケ!!」
カウンターをドンっと叩くとコーヒーがこぼれた。
「いやいやいや!勉強してきたし!!」
鈴木の言い訳にあたしは冷ややかに言った。
「ほー、じゃあ何を勉強してきたか聞こうじゃない。ほれ、言ってみな」
鈴木の目がキョロキョロしている。
「何もないなら誤摩化すな!!」
あたしが言うと「ごめん」と鈴木がうつむいた。