イベントも終わりの方で今演奏しているのが、今回のイベントの一番人気のバンド。


カウンターにビールを置いてあたしはアサヒの耳元で声が出した。


「このバンド、結構いいでしょ?もうすぐ上京して本格的にプロ目指すみたいだよ」


アサヒはあたしの方へ顔を向けた。

何だかぼんやりしている。


「アサヒ?」


口が動いているけど、何を言ってるのかこの爆音の中では全く聞こえない。


「え?何?」


アサヒは何も言わないでまたバンドへ目を向けてしまった。


あたしは首を傾げてアサヒの隣でビールを飲みながら演奏を見てた。



何となくアサヒに目を向けると子供のようにキラキラした目でバンドを見ている。



(そんなにロックが好きなのかな?)



あたしもロックは大好き。


民族音楽も好きだけど、子供の頃習っていたドラムでロック好きの父親が先生にあたしがロックを叩けるようにお願いしていたから、あたしが習ったのは全部ロック。

でも、先生はロックだけじゃなくどんな物でも鳴らせば音楽って教えてくれたからバックパッカーなんてやっているのもあるけど。

先生の影響はかなりあったから。



そんな事を考えていると、バンドの演奏が終了した。