(うわ・・・思ったより人がいる)


セッティングをしながら、ちょっとヤバイかもと思った。

アメリカ人があたし達を面白そうな顔をして見ている。


「Are they in their teens?」(彼らは10代なのかな?)


とか、


「Were you given it by Les Paul, mustang, Spector, all mom?」
(レスポール、ムスタング、スペクター、みんなママに買ってもらったのかな?)


とか、完全に人を馬鹿にしてる。


あたしは彼らの言葉に少しイラついたけど、アサヒだって聞こえてるはず。

でもアサヒは無表情でエフェクターの確認をしている。


そんな中・・・


「優雨!どうしよう!!」


鈴木が涙目で言ってきた。


「何?どうしたの?」


「こんなに人がいるから・・・それに馬鹿にしてるのもわかるし。それ考えたらアサヒのカウントのタイミング忘れちゃった」


「え!?嘘でしょ!?」


あたしの声に都築も「マジかよ・・・」と呟いた。


どうしよう・・・、こんなにザワついてたら足音のタイミングにも戻せない。


「ど、ど、どうしよう・・・」


鈴木は完全にパニックになっている。


「散々練習しただろ?何やってんだよ!」


都築が呆れて言った。


その時、


「大丈夫。足音でいこう。俺がコイツらを静かにさせる」


とアサヒの済んだ声が聞こえた。