「まぁ、書き込みも大事だけどさ、明日のライブはこれからの活動に影響するんだからまずそっちに集中しない?」


あたしが言うと全員頷いた。


「問題は『合図』だよね。足音はやっぱり難しいね」


鈴木の言葉に『そうそう』とまた頷く。


「客がいない状態だったら完璧なんだけどな」


ライティングデスクに頬杖をついて都築が言った。


「明日、客がいないって事有り得ないワケ?」


アサヒの質問にあたしは首を振った。


「有り得ない。ヘンリーさんの店って結構人気あるのよ、特にミュージシャンにね。席の数からいって最低で30人は人が入るわ、多くて50人以上」


「30人・・・絶対に足音なんて聞こえないな」


アサヒが呟く。


「それに、ヘンリーさんが日本からバンドが来るって出しちゃったらしいの。面白半分だろうけど明日、50人は固いと思う」




しばらく4人で無言になる。


明日、午後11時半。あたし達はこのアメリカのデンバーでバンド初のライブをする。


曲はオリジナル3曲。演奏時間は20分。


問題は曲入りのタイミング。


そこが合わないと『Jams』の演奏は悲しいくらいにバラバラになってしまう。



「足音以外の合図・・・。手を上げるとかダセーのは嫌だよな」


都築の言葉に『だよねー』と納得。