セッティングが終わったのを待ってアサヒが振り返る。

少しだけ微笑む。


それからアサヒの背中は全く動かなくて、あたしも目を閉じた。


みんな目を閉じてるんだと思う。


シーーーンとした静けさの中、どの位時間が経ったかわからないけど、




トン・・・




と小さな足音がした。



パっと目を開けると、スティックをしっかり握る。


みんな楽器を振り下ろす瞬間、あたしも思い切りドラムを叩いた。


『バイバイ地球』


間違えないように、そしてみんなで気持ちいい音を出せるようにあたしはひたすら自分が作ったドラムラインを叩き続ける。


でも、不思議・・・。


今までのスタジオ練習より、そして、同じキックペダルなのにあたしの足に吸い付くようだ。


スタジオと全く違う雰囲気。


これがライブなんだ・・・。



ライブって・・・


こんなに気持ちいいもんなんだ。