すぐにアサヒがあたしからパっと離れた。


あたしはポカーンとしていて、多分、間抜けな顔だと思う。


「お前、タバコ臭い」


そう言ってキャリーバッグのジッパーを開けて中をゴソゴソと出している。



「ちょっと」


あたしが声を掛けてもバッグの中身を物色しながら「何ー?」と言う。


「キスしといて『タバコ臭い』って何よ」


「事実だよ。そんまま言っただけ」


「何でキスしたの?」


その言葉でようやく顔を上げてあたしを見た。


「さぁ・・・?好きだからじゃない?」


「はい?」


何言ってるの?この人。

何考えてるの?

・・・全然、わかんない!!




眉間に皺を寄せるあたしに折り畳んだ紙を「どうぞ」と渡してきた。


「何これ?」


「何って『Clear up tomorrow』の歌詞。リーダーにまずは見せるだろ?」


「え!?」


あたしは慌てて紙に目をやった。