「By the way, I inform the room because everybody will be tired. A long journey difficulty state. Because it is a one room, be relaxed slowly.」
(さて、みんな疲れてるだろうから部屋に案内するよ。長旅ご苦労様。1人部屋だからゆっくりリラックスしてね。)


ヘンリーさんは手を叩いて笑顔で言った。

それをあたしがみんなに伝えて、それぞれ荷物を持ってフロアの奥にあるドアへ進む。


「都築くん」


鈴木が都築に声を掛けた。


「何だよ」


都築は顔も見ないで返事をする。


「あの、その、僕は・・・」


鈴木のしどろもどろの言葉に都築がイラっとした顔をした。


「お前、同情してんのか?だったら余計なお世話だよ。俺は楽器に飲まれてなんかねーし、自分のポリシーはちゃんとある」


「いや、そうじゃないよ!僕は『Jams』のメンバーとしてみんなでみんなの問題を解決したいっていうか・・・」


ため息をついて都築は荷物をその場に下ろすと鈴木を見た。


「メンバーとしてみんなの問題って何だよ。俺か?それとも曲が書けないアサヒの事か?」


「違うよ!アサヒだって、都築くんだって努力してるじゃん!僕が言いたいのはバンド仲だよ」


「ちょっと、何!?鈴木、バンド仲なんて悪くないじゃない」


あたしが慌てて口を出すと「優雨は黙ってて」と鈴木が言った。


「アサヒと都築くんの事だよ。何でお互いを認めないの?歩み寄ろうとしないワケ?僕と優雨がどんな気持ちかわかる?」


それを聞いてアサヒを見ると、アサヒは荷物を持ったまま何も言わない。無表情のまま。


「だったら、『Clear up tomorrow』が出来たって言ってるくせにちっとも出さないアサヒに文句言えよ。俺らメロしかもらってねーんだから」