鈴木は自分が好きな日本のバンドのベースラインを無言で下を向きながら弾いた。

やっと終わると「OK」と言いながら首に何かをかけた。

「え?これロザリオ?うわ!!後ろに僕の名前彫ってある!」


「Because Suzuki heard that I was shy, I did it for Rosary so that God protected it anytime」
(鈴木は引っ込み思案と聞いていたから、いつでも神様が守ってくれるようにロザリオにしたんだ)


「うわ、すごく嬉しいです!大事にします!ライブでは必ず付けます!」

鈴木は本当に嬉しそうで、あたし達がジッポをもらったと聞いて「僕タバコ吸えないからなー、うわーいいのかな?」とはしゃいでいる。

「ちょっと、アサヒ!鈴木喜び過ぎよね?」

そう声を掛けてもアサヒは黙って都築を見ていた。

都築は自分のギターをケースから出そうとしていた。


「ヘンリーさんが自分のグレッチで弾いてほしいだってさ」


あたしが言うと動きが止まった。


「都築、このグレッチチューニングも出来てる、完璧だよ。お前と俺は違うからピック出した方がいいぞ」


アサヒの言葉に「わかってる!」と怒鳴りながらピックを手にケースに入りかけのグレッチを手に取ってため息をついた。


それから聴いた事があるような、ないような曲をジャカジャカと弾き始めた。


それをヘンリーさんとアサヒは無言で見ていた。