場所は変わって、今あたし達はアメリカのデンバーに着いた所。


「腰痛ぇ、何時間飛行機乗ったんだろ」


アサヒが腰をさすりながら言った。

つい3日前に『アメリカ歌うのが怖い病』からやっと解放されたばっかり。


「10時間は乗ったよね、機内食が美味しかった」


鈴木は荷物を地面に置いてニコニコしている。


「俺の英語が今日から炸裂するんだな!」


派手な格好の都築が背筋を伸ばしてデカイ声を出す。


「あのさ、前にも言ったけど都築の英語さっぱり理解出来なかったけど」


「お前の英語が適当すぎるんだよ!ヘンリーさんと熱い会話をしてやるから見てろよ!」


「はいはい・・・と、あ!」


呆れているとデカイ四駆の車が目の前に到着する。

窓から顔を出したのは2年ぶりのヘンリーさん。


「You were after a long absence and waited!」
(優雨、久しぶりだな、待ってたぞ!)


「I wanted to meet Henry, too!」
(あたしもヘンリーさんに会いたかったよ!)


そう言ってハグをした。


「Are these boys your band members?」
(この子達がキミのバンドのメンバーかい?)


嬉しそうにヘンリーさんは言った。


「It is so. Asahi, Suzuki, Tsuzuki are the names. The band name "Jams." Thank you!」
(そうなの。アサヒ、鈴木、都築って名前よ。バンド名は「Jams」。よろしくね!)


あたしが振り返って「ほら、ヘンリーさんよ。挨拶して」と言うと、3人揃って

「hello」とひきつりながら手を上げた。


それを見てあたしもヘンリーさんも笑ってしまった。