「いらっしゃーい!・・・ってメンバー全員で来たの?」


いつものように店のエプロンをした上月が呆れている。


「あ、こいつらは無視していいから。上月くん!ギター見せてよ!!」


「はいはい、持ってくるから待っててね」


上月がバックヤードに消えると、都築も鈴木も店の楽器を色々見ている。


「あ、このストラップ丈夫そう。すぐ擦り切れるからなぁ。買おうかな」


「結構、ビンテージもあるんだな。俺、このテレキャスほしいかな?買うかな?」


「買うって35万って書いてあるよ!もっと身の丈に合った楽器使いなよ」


「また、デブは俺のいう事にイチイチと・・・」



ガヤガヤとしているとハードケースに入れたギターを上月が持って来た。


「おまたせー」


アサヒは上月のそばに寄ってキラキラしている。


「このケースもあげるからね。では、ご対面ー」


カパっと開けたケースの中から濃紺に近いムスタングがあらわれた。


「マジ!?すっげー、俺のイメージ通り!!しかもUSAなのに本当にあの値段でいいの!?」


「社員価格もあるけどいいよ。後は色々俺が必要なものまた揃えておいたから」


ギターを触らないで色んな角度から眺めて夢中のアサヒを無視してあたしは上月に聞いた。


「これ、いくらなの?」


「特別プライス!8万5千円!!」


「えええええええええええ」


鈴木と都築が悲鳴を上げた。