数日後、上月からあたしに連絡がきた。
「絶対、アサヒくんは運があるんだよ!フェンダーのムスタング、しかもUSA!なかなか入って来ないのにビックリ価格だよ。しかも欲しがってた青!!」
「へぇ・・・、アサヒってどんな星の下に生まれたのかしら」
「さあね、入った瞬間即取り置きしたんだけど、まさかこんなに早く購入決定なんて。このギターもアサヒくんに出会いたかったって事なんじゃんない!?」
あたしがアサヒにそれを伝えると「マジ!?」と嬉しそうな声が返ってきた。
「よかったね、明日早速見に行こうか?」
「いや、買いに行く!!」
「でもいくらアサヒが欲しがってるギターでも買うのは色々見てからにしたら?」
「だってこの大チャンス逃したら一生後悔する。しかも、ムスタングはアメリカデビュー!!う〜、ワクワクしてきた」
ガッツポーズしているアサヒにあたしは聞いてみた。
「嬉しいのはわかるけど、作詞どうなった?」
「え?出来てるけど。まだ日本語なんだ。英詩に直すけどさ」
あたし達はカフェにいて、都築は周りの女の子ばかり見ているし、鈴木はパフェを美味しそうに食べていた。
でも、アサヒの「作詞できてる」の言葉に全員がアサヒを見た。
「俺、言わなかったっけ?みんなが「×」で作った曲。メロディーラインも出来てるし、作詞も出来てるけど、日本語だと柔らかくなりすぎるから英詩にするって」
『聞いてない!!』
全員で怒鳴った。
「まぁ、俺の作った作詞の中では一番いいと思うよ。これで英詩で爆音でメジャーなら問題ないと思う」
『それを早く言えよ!!』
のんびりしたカフェの中であたしたちの声が響きわたる。