『いいじゃん、別に』
3人で鈴木に言うと、鈴木は頭を抱えてしゃがみこんだ。
「僕、絶対入るバンド間違えてるーー!!!」
「いや。間違ってないってば」
あたしが言うとキッと睨んできた。
「リーダーがそんなに適当で天然でどうするんだよ!優雨、しっかりしてよ」
「あたしは充分しっかりしてるわよ。あんた達がネガティブすぎるのよ」
「こら、デブ!!お前いい加減に諦めろよ!音作るぞ」
都築の怒鳴り声が聞こえる。
「ほら、練習練習」
あたしも床に置いたスティックを取ってドラムに向かう。
「俺、作曲だなー、うるせぇからライブハウスでやろうっと。・・・あ、優雨」
ノートとギターを抱えたアサヒが声をかけてきた。
「え?」
「近々、上月くんに会いたいんだ。店で」
「何で?ここで会えばいいじゃない」
そう答えるとアサヒがニコリと笑った。
「聞いておいてよ、フェンダーのムスタングある?って」
「それって・・・お金貯めたの?」
「まぁね」
「わかった!!今すぐ連絡する!!」
あたしもアサヒに笑顔を向けた。