「優雨はどうしたいの?」


鈴木が聞いてきた。


「あたし?別にどこでライブしようが変わらないし、事実バンド的に今ってすごく悪い状態だからアメリカで気晴らしにライブしてみた方がいいかな?って思うよ。団結出来る気もするし」


「団結って・・・、そんな理由でいきなりアメリカ?」


アサヒが呆れた顔をした。


「そうよ。アメリカには知り合いいないし、頼れる人いないしメンバーを信じるしか出来ないじゃない。だからあたしは行った方がいいと思うけど」



あたしの言葉に3人がお互いをジロジロと見ている。


そして、鈴木が申し訳ない感じで言い出した。


「優雨、あのさ、現実問題旅費とか・・・」


「あー、それはヘンリーさんが出してくれるって。見たいから出すよってメールきたから心配ないんじゃない?」


「そんな上手い話あるのかよ、ただ優雨の知り合いってだけで無名なバンドの4人分の旅費出してくれる気のいい人なんているかよ」


アサヒはため息をついた。


「それがいるのよ。世界ってわかんないよねー、あ、ヘンリーさんの店って小さいし客は外国人だし何も恥ずかしがる事ないわ。失敗してもわかんないじゃん」


アサヒと鈴木は浮かない顔をしてるけど、1人だけウキウキした顔をしている。


「俺達の初ライブがアメリカだなんてかっこいいじゃねぇか!!俺、賛成!」


都築が目をキラキラさせて言った。


「かっこいい・・・って。都築、もっと現実的になれよ。無理だっての」


「アサヒ!お前は暗いんだよ!!アメリカでその暗さぶっ飛ばさないと一生暗い浮かない男のまんまだぞ」


「あのな・・・」アサヒが呆れても都築は「やべーな。何着るかな?俺、目立つしなぁ」とのん気に言っていた。