「いいよ。
あと15分くらいだし。
私、残るから帰ってもいいよ」


急に話に入ったから、早瀬君も木之下君も一瞬停止した。


「あれ?
どっかで見たことある」


ここにきて初めて私をちゃんと視界に入れた木之下君が言う。


……1か月前までクラスメイトでした。


「楠原さん」


早瀬君が名前を言ってくれた。


「ああ。
なんか、いたね。
そんな人」


悪気はないんだろうけど、ちょっと嫌な感じ。


確かに私は目立たないけれど。




「最後までいるよ。
あと少しだし」


早瀬君は私を見て、そう言った。