「ここまで分かった?」
「……うん」
「で、そしたらこれを……」
そんな私を知ってか知らずか、早瀬君は説明しては私に顔を傾け、私が理解しているかどうかを確認する。
そんな近くで直視しないでよ、ホント。
これ、わざとやってるんなら、早瀬君相当ドSなんだけど……。
「はい。
終わり。
分かった?」
「……うん。
ありがと」
カタン。
早瀬君が椅子を離して、ようやく普通の呼吸ができた。
はーー。
息苦しかった。
私は胸に手をあてて、早瀬君に気付かれないように深呼吸した。
「……ふ」
ちらっと見たら、椅子は戻したものの体はこちらに向けてカウンターに肘をついた早瀬君が、私の様子を見て笑っていた。