「いや。
カウンター高いからやり辛そうって思っただけ」
「あぁ……」
特に会話は続かず、私は相槌を打ったまま、またノートに目を移した。
ギッ、て、座っているパイプ椅子が少し軋んだ音を出した。
「……」
会話をほんの少しでもすると、何故か沈黙が今まで以上に重くなる。
確かにやり辛いよ、って、今更ながら答えるのも、何だか違う気がした。
「その本の犯人……」
「……え?」
「父親だよ」
「……」
あ。
早瀬君が無表情のまま固まった。
タラララ、ラララ~。
吹奏楽部の合奏の練習が始まったらしい。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
設定されていません
読み込み中…