「ふ、ふーん。
モテるんだね」
前回は、『ふーん』しか言えなかったが、今回は『モテるんだね』を付け加えてみた。
「そうだね」
サラリとそう言いのける早瀬君。
この前頭の良さを褒めた時同様、見事なほどに受け止めてくれた。
あっぱれだ。
私は何も言えずに口を半開きにしたまま固まってしまった。
「ハハ。
おもしろいね。
やっぱり。
楠原って」
顔をこちらに傾けて私を見た早瀬君が笑う。
慌てて顔を戻す。
まるで手の平で転がされているみたいだ。
私が青くなったり赤くなったり、寝不足になるほど考えこんだりしたとしても、早瀬君には何でも無いこと。
おもしろいね、で片付けられてしまうんだ。